共同住宅を設計するために大阪府八尾市の敷地を訪れました。
面積80坪ほどの敷地は、南側に5.5m、西側に4.3mのあまり広いとは言えない2面道路に面しているうえに、第2種高度地区に属しているという、高さに対してちょっと厳しい敷地です。
2面道路に面していると、道路斜線が二方向からかかってきてしまいます。 その上第2種高度斜線は、敷地の北側から10m以上は1/0.6の斜線から高いところには建物を建てることができません。
***余談ですが、ちょうど今、2面道路に面した戸建て住宅の設計も進行中です。
この戸建て住宅のプロジェクトでも2面とも幅員4mという狭い道路に面している為、共同住宅と同じく道路斜線に苦しんでいるところです。
少し前まで店舗デザインの仕事が重なっていたのですが、共同住宅や戸建て住宅、マンションリノベーションと立て続けに住宅設計が増えてきました。***
この敷地でも3階建てまでなら問題なく設計可能なのですが、4階建て以上は建築面積を縮小するなどの工夫が必要になってきます。
厳しい高さ制限の中、無理に高い共同住宅を建てると大きく2つの弊害が出てきます。
一つはエレベーターの問題です。
3階建てまでなら階段でもいいと思うのですが、4階建てからはエレベーターが欲しいところです。
このエレベーターがなかなかのもので、初期費用がかかるのはもちろんですが、頻繁にメンテナンスする必要があってランニングコストもかかるのです。
もう一つは、4階建て以上の建築物は用途地域や防火地域にかかわらず耐火建築物にする必要が出てくることです。
準耐火建築物までは木造でも比較的簡単に建築可能ですが、耐火建築物を木造で建築するにはハードルが上がります。
近頃は環境に配慮してできるだけ木材を使った建築を建てようという試みで、建築雑誌などで紹介される機会が多くなり、増えてきているように感じる木造耐火建築物ですが、まだまだ一般的に普及しているとは言い難いところです。
現実的には鉄骨造や鉄筋コンクリート造などに構造の選択肢が制限されてしまうことになります。
この敷地での共同住宅の設計は、おそらく3階建てになるであろうと予想されますが、来年3月ごろ着工を目指すということで、それまでは可能性を広げていろいろな検討をする予定です。
このプロジェクトでは、一つの敷地で多くのボリュームチェックのパターンを紹介することができそうです。
いくつのパターンのボリュームが生まれてくるのでしょうか?